「100円玉を貸してください。」

 

自転車を取るために駐輪場に向かった。駐車代金は400円。今日は家を出るとき財布が見つからず、千円札数枚ポケットに突っ込んだ。手元には371円。百円玉が一枚足りない。家まで歩いて15分。



数分考えた。勇気を出して、駐輪場の近くにいたおばあちゃんに話しかけた。100円玉を一枚"貸して"欲しいと頼んだ。快く貸してくれた。ありがたかった。汗水垂らして稼いだお金を僕の過失のために、一瞬もためらわず恵んでくれた。

 


しばらく、その一枚を見つめた。無償とは、人の心に残る行為だ。この一枚を始まりに、数え切れないほどの100円玉を人に渡していこうと思えた。一枚のコインをきっかけに、その体験を循環させることを思い立った。次に繋がるものにならお金を使える人になりたい。

 

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損得勘定をして人になにかを与えるのは簡単だと思う。今回みたいに、見返りがない状態でどれだけ人に施すことができるか。おそらくそういった健全な精神状態は、人に施すこと以上の機会を、その本人にもたらすのだろうと考える。これ自体も損得勘定なのかもしれんが、そのように世界が設計されていることを願う。

 


明日の自分へ。

助けを求めている人がいたら、どうか助けてあげてください。それは、自分の気づかないところで絶対に自分に巡り返ってきます。生きている間かはわからないけれど、その精神世界は実世界に影響を与えます。そうあって欲しい、私はそう願います。